映画『顔たち、ところどころ』:年の差54歳のフランス人アーティスト二人旅が生み出したものとは?





顔が人生を語る(アニエス・ヴェルダ)

これを読むあなた。今、どんな顔してますか?

ライター・講師のホラノコウスケ(@kosuke_art)です。

話題の映画『ボヘミアン・ラプソディ』が、伝説の人フレディ・マーキュリーの人生を描いて感動を呼んでいますね。
一方、今日紹介するのは、無名の田舎の人々の人生にフォーカスした映画『顔たち、ところどころ』

映画監督アニエス・ヴァルダ(撮影時87歳)と、写真家のJR(撮影時33歳)、年の差54歳のふたり旅。
フランスの田舎をめぐり、出会う人々の「顔写真」をそこに大きく貼り出すアートで、互いの、そして見る人の心に「何か」を生み出していくドキュメンタリー映画です。

ケンカしたり、笑い合ったり、互いの人生に触れながら旅は進み、途中アニエスはJRに疑問を持ちます。

驚いたのは、帽子とメガネを取らないこと

私は自分を見せ、あなたは隠してる

それに対し、JRは…?

内容も映像も、とても美しい映画です。
一部の映画館と、なんとWebでも見られます(後述)。

JRとは?

JRは、半匿名のフランスのストリート・アーティスト。
出会う人々の顔写真を巨大なポスターにしてビルの壁などストリートに貼ることによって世界を変えます。

日本では2012年に東北で、被災地の人々の巨大な顔写真を気仙沼の商店街などに貼りました。

TEDで語った動画を見ると、彼の活動がよく分かります。

私は彼を、六本木アートナイト2018で行われていた《インサイドアウトプロジェクト》で知りました。

アニエス・ヴェルダとは?

女性映画監督の先駆であり、映像アーティストへ転身した、1928年生まれのフランス人女性です。
2015年にはカンヌ国際映画祭で史上6人目となるパルム・ドール名誉賞、2017年には60年以上にも渡る映画作りの功労が認められアカデミー名誉賞を受賞しています。

私は2018年8月にアニエス・ヴェルダ「Bord de Mer」展で知りました。

原宿のビル内に癒やしの海:アニエス・ヴェルダ「Bord de Mer」展(〜2018/8/4)

2018.07.25

映画『顔たち、ところどころ』の見どころは?(動画あり)

偶然こそ最良の助監督

そう語る、女性映画監督の先駆アニエス・ヴァルダ。
そして、大都市から紛争地帯など様々な場所で人々の大きな顔写真を貼り出すアーティストJR。

二人はフランスの田舎を旅しながら、そこに住む人々と接し、巨大な顔写真を貼り付ける作品を一緒に作っていきます。

旅を通じて、おばあちゃんと孫くらいに年の離れた二人の友情が深まります。
年齢差はありますが、仕事をするときには対等。
互いへのリスペクトが感じられるのは、二人がプロだからですね。

リスペクトは、旅先の人々へも。
出会う人々の話を丁寧に聞いた後、人々が感動し、自尊心が高まるような作品を次々と生み出していくのです。

日勤・夜勤とシフトの分かれた職場では?
街の郵便局員をヒーローにしたくて生み出した作品は?
取り壊される予定の炭鉱住宅に今でも住む、最後の住人の家では?

映画『顔たち、ところどころ』JRとアニエス・ヴェルダの旅

旅の途中、巨大な写真を貼り付ける作品を見た人が、アニエスにこう聞きます。

教えて。
なぜ列車に写真を?何か目的があって?

アニエスはこう答えます。

目的は想像力かしら。

JRと私は自由な発想から、物事を想像し、問いかける。
「想像力を働かせてる?」と。

想像力は人と関わるもの。だから、皆と写真を撮るの。そうすればあなたと交流し、奇抜な発想を実現できる。
その楽しさを分かち合いたいの。

 

ルーブル美術館で、アニエスを乗せた車椅子を押して走り回り、はしゃぐJRの姿も印象的です。
アートには、あるいは心豊かに生きるには、あの二人の遊び心・ユーモアが必要ではないでしょうか。

そして二人は最後に、「顔」によってさらに深くつながるのです。

観られる劇場はどこ?

2018/12/10現在観ることができるのは、京都、神奈川・藤沢、神奈川・逗子、栃木・宇都宮、大分・日田。
今後観られるのは、東京・世田谷、埼玉・深谷、長野・松本、富山、大阪、岡山、徳島。

詳細は、公式サイトをご確認ください。

そしてなんと、2019年1月28日(月)23:59まで以下のサイト上でも上映されています。
映画館で観るより安い。

Amazonプライムビデオでも見られるように!

なんと、↓Amazonプライムビデオでも見られるようになりました!

【まとめ】映画『顔たち、ところどころ』の詳細

人の温かさを感じる映画です。
楽しいことばかりじゃない人生を、それでも楽しもうとする様子、また多くの人々を巻き込むアートが人々の心を変えていく様子は、美しく感動的です。

人の話を聞く大切さ、心を開くこと、人それぞれの価値観の違いを認めること、「頑張れ」と言わずに応援すること、自尊心について。様々なことを考えました。

JRのように、ユーモアと温かさと行動力とセンスと…を持った男になりたい、そしておばあちゃんに会いたくなった、ホラノコウスケ(@kosuke_art)でした。

ここから学べる発想のヒント

ホラノコウスケ
顔写真であなたの身近な世界をちょっとだけ変えるとしたら。
誰の顔写真を、どこに置く?

その他、おすすめアート情報

ムンク展

「ムンク展―共鳴する魂の叫び」(上野):叫びの秘密、見どころ、空いてる時間・混雑状況は?

2018.11.06

【レポ】ルーヴル美術館展「肖像芸術 人は人をどう表現してきたか」混雑状況、見どころは?(大阪市立美術館、〜2019/1/14)

2018.08.11

ミラクルエッシャー展@あべのハルカス美術館の混雑状況、所要時間、3つの見どころは?【東京・大阪・福岡・愛媛でも】

2018.06.27

コウスケの日常

ホラノコウスケ
しばらくブログを更新できない日が続いた。
12/10なのに12月の初めての記事だ。
ブログが更新できないときと、部屋が散らかっているときは、心が不安定かもしれない。
…そして、部屋はいつも散らかっている。

頭の使い方を身につけ、人生の選択肢・可能性を広げてみませんか?

マインドマップ®、POINTS OF YOU®の頭の使い方を身につけると、あなたの可能性がグッと広がり、もっと心豊かに生きられます。楽しいワークショップをまずは体験してみませんか?


ABOUTこの記事をかいた人

講師、フリーライター。愛知県在住。 トニー・ブザン公認マインドマップ®・インストラクター、Points of You®認定トレーナーとして、「頭の使い方」を楽しく体験できるワークショップを開催。名古屋を中心に、全国で大好評。 またフリーライターとして、タウンワークマガジンなどのサイトに執筆。 詳細プロフィールはこちら