京都がアツい!
いや、気温の話じゃなくて。
京都で今年も、KYOTO GRAPHIE2019(京都国際写真祭)が開催されています(〜2019/5/12)。
京都らしい素敵な会場で、様々なアーティストの作品を鑑賞できる、貴重な機会なんです。
メイン会場を全制覇したライター・講師、ホラノコウスケ(@kosuke_art)が、オススメ会場や所要時間など紹介します。
KYOTO GRAPHIE2019(京都国際写真祭)とは?
世界屈指の文化都市・京都を舞台に開催される、日本でも数少ない国際的な写真祭「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」。国内外の重要作家の貴重な写真作品や写真コレクションを、趣きのある歴史的建造物やモダンな近現代建築の空間に展示する本写真祭も、回を重ねるごとに好評を博し第 6 回までに約 56 万人の方にご来場いただき、2019 年に第 7 回目を開催する運びとなりました。
2019 年のテーマは「VIBE」です。
VIBE ─ 私たちの感覚を研ぎ澄まし、自身の中に眠る何かを揺るがし覚醒させるもの。誰かに出会ったとき、作品と出会ったとき、ある出来事と対峙したとき、目に映らず、形を持たずとも、私たちの全身全霊にほとばしるもの。そしてもたらされる喜びも葛藤も絶望ですらも、私たちを新たな世界へと導くもの。そんな目に見えないものが繋がるときに生まれる共振や共鳴を伝えたい。
KYOTOGRAPHIE 2019は、誰しもの中に在る「VIBE」を呼び覚まします。
単に作品を鑑賞するというのだけでなく、京都の素敵な会場でアート鑑賞できるのがKYOTOGRAPHIEの魅力です。
あなたは会場で、作品の前で、どんな「VIBE」を感じるでしょう?
オススメ作品ベスト7
超個人的にオススメ作品ベスト7を紹介します。
7位から順に紹介します。
カッコ内は、じっくり鑑賞する私が実際に滞在した時間です。
7位:金氏徹平『S.F.(Splash Factory)』@京都新聞ビル 印刷工場跡(30分)
地下で、優越感。
かつて、お堅い新聞を印刷していた場が、
こんなにポップに。
作家さんがここを使って
思い切り遊んだ感じが伝わってきて
こちらまでワクワクする。
何も知らず外を歩く人たちは、
まさか地下にこんな空間が広がってるなんて
思いもしないだろう。
そんなちょっとした優越感?に
浸ることができる。
知らない世界・見えていないものって、
案外多いよね。
6位:ピエール・セルネ&春画@誉田屋源兵衛 竹院の間(15分)
そわそわ、再び。
東京でも先日みたが、京都でも。
春画の見方は難しい。
葛飾北斎らが描くそれらの浮世絵には
男女の情交が生々しく描写されている。
真顔でまじまじと見るのは怪しい?
けどニヤニヤして見るのもどうなのか。
一方、ピエール・セルネの作品は
男女のヌードが被写体なのに
まじまじと見たくなる。
写真と思えない大胆なモノクロのシルエットで
抽象的に表現されているのだ。
何がどうなっているのか、よくわからない。
しかし、分かりそうで分からないものは、
好奇心をそそるのだ。
5位:アルバート・ワトソン『Wild』@京都文化博物館 別館(45分)
Apple信者なら誰もが知る
あのSteve Jobsの写真は、
「ポートレートの巨匠」アルバート・ワトソンによるものだ。
会場では、
「おぉ、この人の写真も!」と驚く。
彼の撮る写真はとてもアイコニック。
被写体の象徴的な瞬間を捉える。
別所で知ったのだが、
忙しいジョブズを撮影するにあたりアルバートは、
「60分の予定だったが、30分で」と伝えてジョブズを喜ばせ
さらにこう言ったという。
「想像してみて。
向かいに4~5人の人が座っていて、
全員あなたの意見に反対です。
でも、あなたは自分が正しいと確信している。」
ジョブズがカメラを見つめたその瞬間、
アルバートはスティーブ・ジョブズという天才の
強さと知性、そして信念をとらえた。
アルバート・ワトソンのマジックだ。
4位:アルフレッド・エールハルト「自然の形態美」@両足院(15分)
身の回りにあるリズム。
自然が生み出す、構造、物質、リズム、ムーブメント。
普段あまり意識しないそれにフィーチャーし、
モノクロプリントした「Das Watt(干潟)」シリーズが、
ここ両足院の自然、黒い畳によく似合う。
鑑賞後、世界の色んなリズムが見えてきた。
3位:ベンジャミン・ミルピエ「Freedom in the Dark」@誉田屋源兵衛 黒蔵(25分)
私の身体は、がんじがらめ。
国際的に名を馳せる元ダンサー、
映画『ブラック・スワン』の振付師、
そしてナタリー・ポートマンの夫としても知られる
#ベンジャミンミルピエ による初個展。
一瞬を切り取ったダンサーの写真。
それは、ダイナミックで、自由で、豊かで。
けど、その隣にふと浮かぶ私は、ミイラのよう。
私の身体だって、もっともっと自由なはずなのに。
2位:イズマイル・バリー『クスノキ』@二条城 二の丸御殿(60分)
「見る」を楽しむ。
暗い御清所へ足を踏み入れると
目にとまるのは、
わずかに差し込む光。
その前に立つと、気づく。
それが作品なのだと。
教えてもらわないと気づかない覗き穴、
外の風景など、
その場所の持つあらゆる要素を活かした、
ここでしかありえないインスタレーションだ。
ここでは、
すごそうな人の、すごそうな解説は要らない。
「意味」も「理解」も要らない。
ただ、見ていたい。
ただ、覗きたいのだ。
その好奇心を、作家が刺激してくれる。
1位:ヴェロニカ・ゲンシツカ『What a Wonderful World』@嶋臺ギャラリー(25分)
この遊び心、たまらない。
思わずニヤッとしてしまう独特のセンスで
写真が加工されている。
写真の展示というだけでなく、
空間全体の演出も
ポップで、品があって、ユーモアがあって、
写真映えするインスタレーションだ。
しかしあなたは作品に感じるだろうか?
「幸せそうだけど、実は…」
というダークユーモアを。
あなたはこれらの写真を見て、
自分に当てはまることを
思い出すかもしれない。
おすすめルートは?
烏丸御池駅の周辺がオススメです。
徒歩で上記の1位、3位、5位 、6位を回ることができます(それぞれ休館日が異なるので注意)。
次に、二条城前駅。
上記の2位と、パオロ・ペレグリン+岡原功祐(30分)の会場があります。
そして、祇園四条駅。
ここでは以下の3会場を見ることができます。
- ヴィック・ムニーズ『Shared Roots』(15分)
- 顧 剣亨『15972 sampling』(10分)
- アルベルト・コルダ、ルネ・ペーニャ、アレハンドロ・ゴンサレス『彼女、私、そして彼らについてキューバ:3人の写真家の人生と芸術』(60分)
オススメベスト7に挙げませんでしたが、特にキューバ展は見ごたえありです。
これで、メインプログラムを全制覇でき、スタンプが集まるとポストカードを1枚もらえます。
しかし他にも、このページにある12〜15のプログラムあり。
さらにKG+ 2019という公募型アートフェスティバルも同時開催されています。
ぜひチェックしてみてくださいね。
自分で計画をたてる場合、、メインプログラムだけ行きたいならKYOTOGRAPHIEの地図ページを見ましょう。
KG+も行きたいなら、KG+の地図ページを見れば、赤文字でKYOTOGRAPHIE、青文字でKG+の会場が表示されています。
そこで、気になる会場の、
- 休館日
- 開館時間
- 最寄り駅
- 近くの別の会場
をチェック。
あとは効率よく回るだけです。
週末とゴールデンウィークには、展覧会ガイドツアーなるものがあります。
予約不要で90分、作品の解説をしながら回ってくれるようです。
チケットについて
1dayパスポート3,000円、フリーパスポート4,000円があります。
しかしいずれも、同じ会場には一度しか入れないので注意が必要です。
また、1つか2つくらいの会場にしか行かないのなら、パスポートなしで会場ごとに払うほうが安く済む場合があります。
しかしこの機会にあれこれ回ってみることをオススメします。
まとめ
京都の素晴らしい空間でVIBEが感じられる、とても充実した時間を過ごすことができました。
アートめぐりの時間は、私にとって人生の他のことを外に追いやる時間。
しかし後にそれがじわじわと人生に効いてくるんです。
京都がますます好きになった、ホラノコウスケ(@kosuke_art)でした。
あ、昨年はこんな様子でしたよ。
ここから学べる発想のヒント
その他、関西のおすすめアート情報
コウスケの日常
またブログで紹介します。