あなたも事件の目撃者に。
2018年だけで326展のアートを巡ったライター・講師、ホラノコウスケ(@kosuke_art)です。
神戸の横尾忠則現代美術館にて、『横尾忠則 大公開制作劇場 〜本日、美術館で事件を起こす』展が開催されています(〜2019/5/6)。
『横尾忠則 大公開制作劇場 〜本日、美術館で事件を起こす』展
観客の前で作品をつくる公開制作は、横尾忠則がしばしば行う制作方法の一つです。人に見られることでかえって余計な自我やこだわりが消え、無心状態で制作することができるという横尾にとって、公開制作は「描く」という肉体的行為を再認識するための格好の手段でした。
1980年代、画家へと転向したもののアトリエを持たないため、やむなくとった手段が公開制作だったのだとか。
しかし、アトリエが完成した後も様々な場所で公開制作の機会を持つように。
その後、横尾さん自身が仮装して制作するPCPPP(Public Costume Play Performance Painting)も行われるようになります。
本展では、横尾氏がこれまでに公開制作で描いてきた作品を、映像・写真などの資料とともに紹介しています。
実際の展示の様子
「公開制作」がテーマのため、実際の公開制作の様子の動画がいくつも流れているのが本展の特徴。
私なら人目が気になって仕方ないですが、それが面白い「事件」を生むかもしれません。
ライブの面白さは「事件」。
「事件」がなければ、ライブの良さがないのでは。
横尾さん自身が仮装して制作するPCPPPの様子も面白いです。
残念ながら、本展で撮影できる作品はたった1つだけ。
本展のために公開制作されたものです。
他にも、有名な「Y字路」シリーズなども展示されています。
様々な作品を鑑賞できて嬉しいのですが、やっぱり私は公開制作の動画に見入ってしまい、あっという間に時間が過ぎましたよ。
ライブだから起こる「事件」の価値
ライブだから、自身の想像の範囲を超えたことが起こる。
「事件」です。
自分を押し通すより、その場で起こることを受け入れる。
インプロ(即興劇)のようなものでしょうか。
横尾さんは、自身の発想以上のものを生み出すために、公開制作をするのだと思います。
ライブの面白さは事件なのです。
それは「思い通りに事を運びたい」とは逆の発想です。
私が講座を開催するときも、事件を大事にします。
事件を大切に扱わなければ、わざわざ講座に来てもらう意味がない。
テキストを自宅で読んでもらえば済むのです。
思い通りと違う「事件」が起きたときこそ、ワクワクします。
受講者が、私が持っているものを超えた「何か」を得るチャンスだから。
まとめ
横尾忠則さんの発想、面白いです。
そして、いつも展覧会のタイトルがユニークなんですよ。
今回は『横尾忠則 大公開制作劇場 〜本日、美術館で事件を起こす』。
次は『人食いザメと金髪美女―笑う横尾忠則展』ですよ。
過去には、以下のようなものもありました。
- ようこそ!横尾温泉郷
- 横尾忠則の冥土旅行
- 横尾忠則 在庫一掃大放出展
私も事件を起こしたい。そう思った、ホラノコウスケ(@kosuke_art)でした。
場所:横尾忠則現代美術館
アクセス:阪急電車 王子公園駅 徒歩約6分
住所:神戸市灘区原田通3-8-30
会期:2019年1月26日(土)-5月6日(月•振休)
開演時間:10:00-18:00[金・土曜日は20:00まで]入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日[ただし祝日・振替休日の場合は開館し、翌平日休館]
入場料:一般 700円、大学生 550円、70歳以上 350円、高校生以下 無料