透明なものに、惹かれる。
1年で326展のアートを巡ったライター・講師、ホラノコウスケ(@kosuke_art)です。
先日行った、高松市美術館。
瀬戸内国際芸術祭2019、宮永愛子展『漕法』 (〜2019/9/1)が目的だ。
昨年326展のアートを巡った中でも特に印象深かったあの作品に、また出会えた。
宮永愛子展『漕法』
昨年東京で出会い、一年ぶり。
ずっと忘れられなかった作品《life》に、また会うことができた。
東京で見たときは、背景が白かった。
今回は黒。かなり印象が違う。
そしてやっぱり、見とれてしまう。
スーツケースと鍵、そして旅
《suitcase -key- 》も美しい。
鍵やスーツケースのモチーフは、東京で開催中の大人気「塩田千春展」にもあるが、宮永愛子さんのそれはかなり異なる表現だ。
私には、スーツケースの中を鍵が自由に泳いでいるように見える。
でも、鍵は気づいていない。
それが海ではなく、スーツケースの中だということを。
私もそうだった。
世界はこれが全て。全部見えている。そう思っていた。諦めのようなものだったかもしれない。
でも、溺れた。
私はいつも運がいい。
溺れて意識が遠のく中、スーツケースを開ける鍵は私自身だと気づいたから。
逃げるようにスーツケースを開け、広い世界に飛び出した。
開けるかどうかも、行き先も、自分で決められたのだ。
代わりに、もう、誰も私を運んではくれないが。
それでも、鍵を磨くのを助けてくれたり、鍵を必要としてくれる人がいる。
本当に運がいい。
私はスーツケースの外の、広い海を自由に漕ぐ。押し寄せる波を受け入れながら。
そのほうが、自分の能力を発揮できるみたいだ。
宮永愛子展『漕法』の場所、開催日時など詳細
ここで紹介した以外にも、時計をモチーフとした作品やチェアーが閉じ込められた作品、叩くと美しい音色を響かせることで知られる讃岐名石「サヌカイト」を用いた作品など、どれも物語を感じる作品だ。
場所:高松市美術館
住所:香川県高松市紺屋町10-4
会期:2019年7月17日(水曜日)~9月1日(日曜日)
開演時間:9時30分~19時(但し日曜は17時閉館/入室は閉館30分前まで)
休館日:月曜日
入場料:【一般】1,000円【大学生】500円【高校生以下】無料
高松市・女木島では、ヘアサロンを作品化する「島の中の小さなお店」プロジェクトの展開中。
海を眺めて髪を切ってもらえるようだ。
あわせて訪れてみてはいかがだろうか。
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コウスケの日常
宮永愛子展も図録が間に合っておらず、残念。あれば、買ったかもしれないのに。