『カタストロフと美術のちから展』悲劇に対し、アートができることとは?(六本木、〜2019/1/20)

カタストロフと美術のちから展




アートは娯楽でしょうか?

ライター・講師、ホラノコウスケ(@kosuke_art)です。

六本木の森美術館にて「カタストロフと美術のちから展」を開催中(〜2019/1/20)。
カタストロフ(大惨事)をテーマに制作された作品の数々を見て、あなたは何を感じるでしょうか?

心揺さぶられる展示の、ほんの一部を紹介します。

「カタストロフと美術のちから展」

カタストロフと美術のちから展

東日本大震災やアメリカ同時多発テロ、リーマンショックなど世界各地で絶えず発生するカタストロフ(大惨事)。多くのアーティストがこのような悲劇的な災禍を主題に、惨事を世に知らしめ、後世に語り継ごうと作品を制作しています。(中略)

カタストロフは私たちを絶望に追い込みますが、そこから再起しようとする力は想像力を刺激し、創造の契機となることもまた、事実なのではないでしょうか。(中略)

戦争やテロ、難民問題や環境破壊など、危機的な問題が山積する今日において、美術が社会を襲う大惨事や個人的な悲劇とどのように向き合い、私たちが再生を遂げるためにどのような役割を果たすことができるのか。

カタストロフと美術のちから展

アートとカタストロフ(大惨事)。
関係ないと思っている方も多いかもしれませんが、実はアートに救われる人がいたり、アートが歴史を変えることだってあるのです。

圧巻のインスタレーション、オノ・ヨーコ《色を加えるペインティング(難民船)》

カタストロフと美術のちから展、オノ・ヨーコ《色を加えるペインティング(難民船)》

オノ・ヨーコ《色を加えるペインティング(難民船)》

なんといっても、本展の一番の見どころは、これでしょう。

最近は参加型、そしてフォトジェニックなアートが人気ですが、この作品は圧倒的な存在感。
年齢・性別・国籍問わず様々な人たちがここで、平和への思いを書き込んでいます。

カタストロフと美術のちから展

私も描いておきました。

しかしこの作品は、最後の最後。
本展のはじまりは、こんな風景から始まるのです。

カタストロフに、何を思うのか

カタストロフと美術のちから展

トーマス・ヒルシュホーン《崩落》

冒頭からショッキングな、瓦礫と化した建物。
そこには、こんな言葉が添えられています。

すべての創造は、破壊から始まる(パブロ・ピカソ)

私は破壊したいのだ。創造するために。
そう感じました。
よりよいものを生み出すには、うまくいっているように見えるものを壊すことが必要なのです。

だから、私は壊そうとする。
全員がAだと言っても、BやCの可能性を探る。
「今まで通り」「みんながそう言うから正しい」を疑い、新しい道を模索するのです。

一方、起きてしまったカタストロフ(大惨事)について、私たちは受け入れるしかありません。
起きたことを変えることはできないのです。
しかし、創造のチャンスと捉えることはできます。

 

カタストロフと美術のちから展

堀尾貞治《震災風景》シリーズ

日本の震災をテーマに描かれたものもあります。
こちらは、阪神・淡路大震災の心象風景を描いた作品。

 

カタストロフと美術のちから展

平川恒太《ブラックカラータイマー》

また、漆黒の円が壁一面に並ぶこちらの作品。
「オシャレな作品」に思えるがしかし、各円の表面を注意深く見ると…。

カタストロフと美術のちから展

そこには、福島第一原子力発電所事故後に現地で従事した従業員の肖像が描かれているのです。

対して、チェルノブイリ原子力発電所事故の2年後に制作されたミリアム・カーン《原子爆弾》も展示されています。
原子爆弾の恐ろしさを美しく描いた作品に、あなたは何を感じるでしょうか?

心のありかたと、カタストロフ

カタストロフと美術のちから展

ジリアン・ウェアリングの作品

パッと見た印象とは裏腹な、彼らの書いたメッセージとは。
英語のわからない方はぜひ、調べてみてください。

私は本『エクセレントな仕事人になれ! 「抜群力」を発揮する自分づくりのためのヒント163 』にあった、この言葉を思い出しました。

「人には親切に。あなたが出会うすべての人々は大きな戦いのさなかにあるのだから」プラトン

仕事でミスをした部下や同僚に対し、怒りをぶつけたことがありますか?
不手際をした店員さんに、感情的になったことは?

彼らは「人」です。
もしかしたら家庭で何かの悩みと戦っているかもしれません。
何か人生の大きな岐路に立っているかもしれません。

そう思って、大きな心で人に接することができる心の余裕を持ちたいものです。
自分に見えている物事だけがすべてではないのです。

 

カタストロフと美術のちから展

一方、こちらの作品。
実は、ある一点から見たときだけ、星型が見えます。

どんな苦境に立たされても、その物事に「星に見える角度」を探してみよう。
そう思える作品です。

アートに何ができるか?

展示の終盤には、強い言葉も並んでいます。

カタストロフと美術のちから展 カタストロフと美術のちから展

アーティストではないのに「アートで何をするか!」を考えたくなった、ホラノコウスケ(@kosuke_art)でした。

【まとめ】会期、場所、時間など

年末年始も休まず営業していますよ。

展示名:カタストロフと美術のちから展
場所:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
会期:2018.10.6(土)~ 2019.1.20(日)
開演時間:10:00~22:00(最終入館 21:30)※1/1以外の火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)
休館日:会期中無休
入場料:一般1,800円、高校・大学生1,200円、4歳~中学生600円、65歳以上1,500円

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カタストロフと美術のちから展

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ABOUTこの記事をかいた人

講師、フリーライター。愛知県在住。 トニー・ブザン公認マインドマップ®・インストラクター、Points of You®認定トレーナーとして、「頭の使い方」を楽しく体験できるワークショップを開催。名古屋を中心に、全国で大好評。 またフリーライターとして、タウンワークマガジンなどのサイトに執筆。 詳細プロフィールはこちら