アートに詳しくなくても楽しめるアートには、2つの種類がありそうです。
1つは、分かりやすいインパクトのある、フォトジェニックな作品。
もう1つは、作家をよく知っている作品。
『アートたけし展』は後者。
北野でもビートでもない「アートたけし」として展示する100点もの作品群に、たけしさんの脳内が見えるようです。
アート大好きライター・ホラノコウスケ(@kosstyle)が実際に鑑賞してきた所感をまとめておきます。
アートたけし展とは
お笑い芸人、映画監督、俳優など、様々な面を持つたけしさんですが、唯一アートだけは「仕事じゃない」のだといいます。
本人曰く、アートは「ひまつぶしだよ」。
あのバイク事故がキッカケで書き始めたのだそうです。
たけしさんは、映画などの製作でも、まず一枚の絵が浮かぶのだとか。
そこからストーリーを広げていくというから、たけしさんにとって絵(イメージ)というのは全ての創作の元になるもののようです。
展示は、以下の5章で構成されています。
- ヘンな人たち
- どこかにある世界
- 立体調査
- カネとオンナとクルマ
- 版画
実際の作品たちと、アートたけしの心の中
第一章「ヘンな人たち」。
ご自身がお笑いで扮するキャラクターなども描いています。
そこには横顔と正面の顔を組み合わせるなど、ピカソの影響が見られます。
第二章「どこかにある世界」では、見えているものと見えていないもの。
カップルのロマンティックなムードかと思いきや、スカートめくり…。
ガダルカナル・タカさんはこう言います。
「やめときゃいいのに、なんか1つこういうの(スカートめくりなど)入れちゃうんだよな」
第三章「立体調査」では、レディメイド(当初の目的とは違った使われ方をされた既製品)な作品が並びます。
壊れた時計やカセットテープなどを組み合わせたり、またポロック風のドロッピング技法を使った作品があるなど、様々な技法の実験をしているようです。
こうした中から自分自身も気が付かない心の中の世界を表現しようとしている。
音声ガイドで山田五郎さんはそういいます。
第四章「カネとオンナとクルマ」では、ストレートに好きなものをモチーフに。
たけしさんにとって、オンナとクルマは1セット。
様々なその組み合わせを考えているように見えます。
抽象的な絵が多い中、大好きなクルマについては写実的に描いてしまうのも興味深いところです。
第五章は、版画。
絵を描くときは無心だという、たけしさん。
考えずに描くことで自分の知らない自分を発見する、一種のセルフセラピー効果があるのではと、音声ガイドで山田五郎さんは語っています。
この絵にある
こいつは何れだ
何んの為めに生ま
というのも、たけしさんが自分を発見しようとしている様子がうかがえますね。
そして、なにやら音の聞こえるほうへいくと…。
カメラを持ったオジサンがプール内をゆっくり動き回っています。
プールにいる水着美女を撮影したいのに、怖いお兄さんがいてあたふたしている様子、とのこと。
…バカですねぇ(笑)。
あの人たちによる音声ガイド、聞き応えあり
作品の背景や専門的な見方などを知ると、作品の見え方がグッと変わります。
音声ガイドは600円もしますが、オススメ。
山田五郎さんのアート目線からの解説はとても勉強になります。
また「アートたけし勝手に座談会」として、TV「ビートたけしのTVタックル」でおなじみ、阿川佐和子、大竹まこと、江口ともみのお三方が、アートたけしさんについて言いたい放題。
よくある真面目な音声ガイドと違い、たけしさんの人柄を楽しく知ることのできる内容です。
混み具合や所要時間
私は名古屋で初日9/30(土)12:30から鑑賞。食事の時間だからか意外にも空いていました。
チケットを買うにも、展示を見るにも、まったく不便のない状態です。
12:30〜13:15の45分間滞在。
ゆっくり見ながらメモをとったり、映像を座ってのんびり見たり、グッズを見たりの合計時間です。
サラッと見るなら30分かからないと思います。
まとめ
先日、暴力映画『アウトレイジ最終章』についてのインタビューで、たけしさんがこう言っていたのが印象的です。
9.11のテロとかさ、現実が映画を超えてきちゃってるんだよ。物作りが難しくなってる
そういえばアートタケシ展に展示されている作品の数々のほとんど全てに生き物が描かれているが、割と平和なものばかり。
100点もの作品と、座談会映像で楽しめる内容です。
残念なのは、写真を撮れないこと。
このSNS時代に写真を撮れないなんて。
唯一撮れるのはこのタクシー。
展示の外で気づかない方もいそうですが、乗って撮影できますよ。
アートたけしさんは「仕事じゃないんだし」「恥ずかしいよ」といいます。
実際プロが見てどう思うのかよく分からないし、上手い下手も私にはわかりません。
ただこの展示や作品の価値は、著名なたけしさんの頭の中を覗き見できる作品の数々と、彼らしいユーモアではないかと。
展示の最後にある映像の中で、アートたけしさんがしつこくお願いしていたので、実践します。
この展示を見たら、なんと10kgも痩せました!!オススメです!!
アートたけし展の会場情報などはこちら。
神戸、京都、刈谷、名古屋と、どれも当たりばかり。
コウスケ(@kosstyle)でした。