どういう女を口説いたらよかろうか、ということが一般的に言えないとしても、それはかならずしも、どう女を口説いたらよかろうか、という議論ができないということではありません。(中略)
なにを読んだらよいかは、一般論として成りたたない。どう読んだらよいかは、一般論としても成り立ちます。すなわち「読書術」です。
P.ⅳ
「本を読め」と言われたことはあっても、「本の読み方」を教わったことのある方は多くありません。
何も考えず、やみくもにただダラダラと本を読むのが効率が悪い。
しかし、読書慣れしていない人がゼロから「読書術」を試行錯誤するのは大変です。
先人の知恵と経験を参考にするほうが、圧倒的に良いでしょう。
今日は、初版が1962年に書かれたという歴史ある本『読書術』から、3つのポイントを紹介します。
1.わからない本は読まない
少しページをめくってみて、あるいは少し読みかけてみて、考えてもわかりそうもない本は読まないことにするのが賢明でしょう。一冊の本がわからないということ、ただそれだけでは、あなたが悪いということにもならず、またその本が悪いということにもならない。これはよく心得ておくべきことで、そのことさえ十分に心得ていれば、無用の努力、無用の虚栄心、または無用の劣等感をはぶき、時間のむだをはぶくことができるでしょう。だれにもわかりにくい本というのがあります。私にはわかりにくいけれども、ほかの人にはわかりやすい本というのがあります。
P.173
実際のところ、わからない本は「読めない」ですよね。
わかるようになるまで読み込んだ結果、あらたな知識が得られることもあるでしょう。
しかし、我々には時間がありません。
どうしてもその本が必要ならともかく、そうでなければ他の本を読んだほうが良いのではないでしょうか。
いまどき、同じようなテーマで何冊も本が出ているものです。
「マンガでわかる〜」みたいな本や、「超訳〜」みたいな本もアリでしょう。
2.はやく読むほうが、理解が高まる
本を読むのにおそければおそいほどいいということはなく、かえって多少の犠牲を払っても速さを尊ぶことは、かならずしも時間の経済のためだけではなく、作品の本質を理解するためにも必要な場合があるだろうと思うのです。
P.96
一字一句を調べて四十時間を費やすのと、わからぬところはとばしても四時間で片付けるのと、——もし一度だけ『平家』を読むとすれば、どちらがよく『平家』を理解したことになるか、これはおおいに疑わしいと思います。
P.95
私の場合はたいてい、一度に一気にその本を読み切ります。
間をあけてしまうと内容を思い出すのに時間がかかり、効率が悪いからです。
本書にあるこの「はやく読むほうが、理解が高まる」という内容に、とても共感できます。
では、どうすればはやく読めるのか。
本書にも書かれていますし、他にも速読についての本はたくさんありますが、大きく分けると
- 目を早く動かす
- 飛ばし読み
のいずれかになりそうです。
一方、マインドマップ・インストラクターの私が開催する読書術 講座はこちら。
3.読んだフリは大切
「どうせ私はばかですよ」と言っていたのでは、いつになっても私はばかでなくならない。読まない本を読んだふりをしているうちに、ほんとうに読む機会も増えてくるのです。
P.121
とにかく読まない本を読んだふりをする、よくわかりもしない本をわかったふうに語る——これが知的「スノビズム」(俗物根性)というもののあらわれである。(中略)
大学の教師とその細君たちが、都会の歓楽を求むべくもないためにまた、ほかにおもしろい話し相手もないためにお互いに訪問しては夜をすごしていました。(中略)
もっぱら思考の交換をたのしむ。同僚についての思想、学校行政についての思想、食べ物についての思想など。そこで、だれかがこういう本を読んだという話も当然出てきます。しかし「その本は読んだことがない、いったいなんですか」とは、だれもめったにいいません。もちろん、だれも実際に読んだことがあるわけではない。(中略)
それはひとえに、読まなかった本を読まなかったといわぬ「スノビズム」があり、見たことも聞いたこともない本について、一晩中話す技術が一座の人々の心得だからでしょう。
P.118
思い出されたのは、この本。
読書において、何が大事か。それをあらためて考えさせられました。
インプット目的で読むこともあるでしょうが、それすら最終的にはアウトプットするためのはずです。
そういう意味では、読んでいなくてもその本をきっかけに語る(アウトプット)できれば良いわけです。
まとめ
読書するのは楽しい。
知的好奇心が満たされます。
しかし、それを人に話したり、何かに活かすことは、もっと楽しいものです。
本書をもとに、あなたの「読み方」について、一度考えてみてはいかがでしょうか。
コウスケ(@kosstyle)でした。